お役立ちコラム
増築時の確認申請について詳しく解説!確認申請が不要な事例も紹介
2023年08月22日
ご自宅の増築をお考えの方の中には、増築の際は確認申請が必要と耳にした方もいるでしょう。
「具体的に確認申請の概要や、確認申請の費用についてわからない」
そう悩む方もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、増築に必要とされる確認申請について解説します。
確認申請にかかる費用や行わないリスクについても紹介するので、最後までご覧ください。
増築時の確認申請|違法建築物を防ぐ
建築確認申請とは、工事が始まる前に行う図面審査です。
図面が適法なものとして認識されると、建築確認済証が発行され、工事を始められます。
工事が竣工し、その図面通りに施工されたか検査するのです。
問題ないと認められると、検査済証が発行されます。
申請が不要な事例もある
さまざまな法律にも例外があるように、建築基準法にも確認申請が不要な事例があります。
以下の2つの条件を同時にクリアしていれば、確認申請が不要です。
- 10㎡以下の増築である
- 建物の所在地が防火地域、準防火地域以外である
この防火地域とは、都市計画法に基づき各地方自治体が定めています。
火災に強い街づくりのための制度ですので、密集地や繁華街は特に厳しい指定です。
なお、東京の都心部では多くの住宅エリアが防火地域に指定されています。
初回以降は許可が必要
10㎡以下の増築後にさらに10㎡以下の追加増築を行う場合は、原則的に確認申請が不要とは認められません。
自治体によっては認められる場合もあります。
しかし、新たな確認申請が必要になった際には、それまで増築した建物についての法適合性を証明せねばなりません。
新たな申請を必要とする例は、建物のオーナーが変わる場合などです。
確認申請なしで繰り返し10㎡以下の増築を行うのは、原則認められないと考えておいた方がよいでしょう。
増築に必要な確認申請|費用はいくら?
増築の建築確認申請を行うには、各自治体で決められている費用が必要です。
自治体ごとに費用は異なりますが、床面積で定められているのが一般的です。
必要となる費用を、これからご紹介します。
基本は面積で決定する
確認申請は、工事前に行う手続きで面積を決定するのが一般的です。
確認申請の前には「設計図書の作成」が必要です。
設計図書の作成が完了すると、確認申請を行います。
ここでご紹介するのは、東京都の確認申請の費用の代表的な3パターンです。
面積 | 費用 |
30㎡以内のもの | 5,600円 |
30㎡を超え、100㎡以内のもの | 9,400円 |
100㎡を超え、200㎡以内のもの | 14,000円 |
ここでは代表的な3パターンをご紹介していますが、50,000㎡を超過するものまで細かく決められています。
中間検査が必要かは自治体の判断
中間検査とは、増築が法令によって決められている基準に合っているかを工事中に確認する検査です。
検査に合格すれば、「中間検査合格証」が発行されます。
しかし、不合格の場合は次の工程には進めません。
すべての建築工事で中間検査が実施されるわけではありませんが、その判断は自治体に委ねられています。
中間検査にかかる費用は以下の通りです。
面積 | 費用 |
30㎡以内のもの | 9,900円 |
30㎡を超え、100㎡以内のもの | 11,000円 |
100㎡を超え、200㎡以内のもの | 15,000円 |
費用は自治体によって異なりますので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。
完了検査(中間検査なし)もお金がかかる?
完了検査とは、増築工事が終了した際に、法令に沿った工事が行われたかを確認する検査です。
基礎に鉄筋を配置する工事や建築物が2棟以上ある場合、木造建築物における屋根工事の場合などは「特定工程に係るもの」とされ中間検査が必要になります。
中間検査なしの完了検査にかかる費用は以下の通りです。
面積 | 費用 |
30㎡以内のもの | 9,900円 |
30㎡を超え、100㎡以内のもの | 11,000円 |
100㎡を超え、200㎡以内のもの | 15,000円 |
費用は自治体によって異なりますので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。
中間検査ありの完了検査はいくらかかる?
一方、特定工程に係るもの以外は中間検査が不要です。
中間検査が実施されなかった場合の完了検査申請の費用は以下の通りです。
面積 | 費用 |
30㎡以内のもの | 11,000円 |
30㎡を超え、100㎡以内のもの | 12,000円 |
100㎡を超え、200㎡以内のもの | 16,000円 |
このように確認申請では、3つの手順で確認が行われます。
審査によっては時間がかかる場合があります。
余裕を持って工事計画を立てましょう。
建築士が書類を作れば手続きの簡略化が可能
難しい確認申請の書類申請は建築士に依頼可能です。
確認申請を建築士に依頼するメリットは、難しい書類作成を専門家に任せると確認申請の手続きを簡略化できます。
手続き内容に変更が発生しても、すぐに対応してもらえます。
アドバイスも受けられるので、中間検査や完了検査の際もスムーズに進行できるでしょう。
建築士に依頼した場合の費用相場は、一般的に15~30万円程度です。
増築の確認申請を怠った際の罰則はある?
確認申請については、2種類の罰則があります。
1つ目は確認申請を怠った場合の罰則です。
確認申請を無視して、申請書を提出しないと建築基準法第99条1号の規定により1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処されます。
この場合、罰則に処されるのは建築主(工事を依頼した施主)です。
2つ目は確認申請を行わず自治体からの停止命令を受けても、それを無視して施工続けると建築基準法第9条第1項規定により、3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金に処される恐れがあります。
まとめ
住宅を増築する際、増築する面積や住宅のある地域などによって確認申請が必要か不要かが異なります。
しかし、多くのケースでは申請が必要と考えていいでしょう。
確認申請は、建築基準法で定められた非常に大切な手続きです。
申請を怠ると、工事の中断や罰金刑などが科されるリスクがありますので、必ず確認申請を行いましょう。
一般的には、申請は建築士に代行してもらいます。
しかし、申請者も確認申請の概要やその必要をきちんと把握しておくのが好ましいです。